Handspecimen-地を掘り石は巡る-2023.9/9(sat)~10/1(sun)
国産鉱物と自採石灰石による石版リトグラフの展覧会
『Handspecimen -地を掘り石は巡る- 』
limestone lithograph and Japanese minerals exhibition -Handspecimen#2-
会期|2023年9月23日(土) - 10月1日(日)
OPEN | 12:00-18:00
休廊|9/28(木曜日定休)
衣川泰典/美術家・石版画家
西田勝一/鉱物コレクター
Handspecimen(ハンドスペシメン)とは手のひらサイズの石を表す専門用語。
今展ではさらに大きなサイズの石もギャラリーに並びます。その空間では石や自然を見つめる美術家と鉱物コレクターふたりの眼差しをより体感できるでしょう。
石を採集すること/コレクションすること/作品にすることで自然と物質とひとは繋がります。石を求めさまざまな場所を巡り、石もひとの手や場所を巡るのです。
衣川泰典氏は、近年、国内で拾った石灰岩がもとあった場所の風景を描き石版画にするという手法で作品制作しています。
国内の石灰岩が取れる場所をリサーチし、自らの手で石を裁断、描画、製版、印刷という工程を経て石があった風景を紙に写しとります。これらは石の記憶として、衣川氏が石と出会った風景を重ね描くことで人間が体感する時間とは異なるスケールの悠久の時間が作品に内包されます。
2020年の作品発表以降、作品で扱われる石は人が持てるギリギリの重さのサイズまで大きくなりました。2022年に開催されたグループ展「ゆらめくいきものたち」(京都精華大学ギャラリーTerra-S/京都)では、大きな石灰岩や小さな石と石灰岩でつくられた作品を組み合わせ、大地の記憶の一部として視覚化することを試みました。
my little stone_ イヌワシ #5 2022 35.7×27 cm 石版画、油性インク、雁皮紙、いづみ/作家蔵
my little stone_ イヌワシ #5 石灰岩、滋賀県米原市上野 伊吹山/作家蔵
石化する風景 #3_ 舞鶴 池内 2022 石灰岩、京都府舞鶴市 池内/作家蔵
石化する風景 #3_ 舞鶴 池内 2022 65×50 cm 石版画、油性インク、雁皮紙、いづみ/作家蔵
西田勝一氏は、およそ40年という時間をかけ鉱物を蒐集しています。少年時代に石が自然と結晶することに感動し、鉱物のとりことなりました。中学生の頃、博物館で見た鉱物が意外と身近な場所で採集できることを知ったことから、蒐集の道が始まりました。鉱物に対する好奇心から化学・地質などへの興味を深め、日本新産鉱物を3種(Preisingerite, Bendadaite, Picropharmacolite)発見する実績を収めました。今日に至るまで日々、新鉱物発見への熱意を胸に日本各地での鉱物探索を継続しています。
紫水晶(Amethyst)石川県小松市金平鉱山 満バン柘榴石(Spessartine)愛知県岡崎市久田野
青鉛鉱 白鉛鉱(Linerite Cerussite)石川県小松市大谷鉱山 菱マンガン鉱(Rhodochrosite)北海道八雲町八雲鉱山
二人は2020年のHandspecimen展をきっかけに交流を交わし、石灰岩の調査や鉱物採集に赴き、自然と対峙してきました。
またそれぞれの興味の対象となる石の情報を交換しつつ、積極的に各地で巡検を行ってきました。
この二人に共通することとは日本各地を巡り歩き、地を掘り、石に出会うこと。
石灰岩という特定の石から生まれる、衣川氏の眼差しを可視化する行為と、国産のさまざまな石から見て取れる西田氏の大地の神秘への眼差しが交錯します。
【作家プロフィール】
衣川泰典/ KINUKAWA Yasunori
1978 京都生まれ
2002 京都精華大学芸術学部造形学科卒業
2004 京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻修了京都在住
【主な展覧会】
2010 個展「束の間の私達」(neutron tokyo /東京)
2011 「第 14 回岡本太郎現代芸術賞展」(川崎市岡本太郎美術館/神奈川)
2012 個展「僕達の記憶 スクラップブックのような」(LIXIL ギャラリー GALLERY2 /東京)
2013 個展「スクラップブックのような絵画」(AIR 南山城村/京都)
2014 「KAMIKOANI プロジェクト秋田 2014」(旧沖田面小学校/秋田)
「奈良・町家の芸術祭 はならぁと『在り処をみる』」(奈良きたまち 工場跡/奈良)
個展「藍色の風景」 (髙島屋ギャラリー NEXT /大阪)
2015 個展「スクラップブックのような絵画Ⅱ」(ギャラリー揺/京都)
「オバケに 100 回触れてみる」(愛知県美術館ギャラリー/ florist_gallery N / 愛知)
2016 「LITHOGRAPH: Lighter but Heavier」(GALLERY blanka / 名古屋)
2017 「Stone Letter Project #1 石からの手紙」(Gallery TRI-ANGLE 宝塚大学/兵庫)
2018 「Lighter but Heavier」(KOBE STUDIO Y3 /神戸)
「The International Lithography Days」(Münchner Künstlerhaus / München,Germany)
2019 「Stone Letter Project #2 Dialog Through The Limestones」
(Facultat de Belles Arts Sala D'exposicions、ESPAI NAU U Escola Llotja Sant Andreu /
Barcelona, Spain)
「Stone Letter Project #3 石版工房 Site-specific Lithography」(京都場/京都)
2020 「Stone Letter Project #4 The new stone age」
(愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA•KURA /愛知)
「Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線」(GALLERY HEPTAGON/京都)
「2nd International Biennale of Lithography」(Stari grad/Belgrade, Serbia)
2021 個展「蒐集されたページ」(MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w / 京都)
2022 個展「小石のリトグラフ」(MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w / 京都)
「Stone Letter Project#5 圧縮と解凍」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都)
「ゆらめくいきものたち」(京都精華大学ギャラリーTerra-S/京都)
2023 「KOMPAS」(Zebra Culture/Ghent, Belgium)
「Stone Letter Project #6 Lost in Translation」(名古屋芸術大学 Art & Design Center West/愛知)その他、展覧会多数
【パブリックコレクション】
青森市民美術展示館、 町田市立国際版画美術館、 京都精華大学、 International Biennale of Lithography(Belgrade, Serbia)
西田勝一/ NISHIDA Katsuichi
1970 京都府生まれ
1993 立命館大学産業社会学部 卒業
日本鉱物科学会 日本地学研究会 所属 京都在住
地球の営みを凝縮した鉱物の結晶に感動し、特に日本産鉱物を蒐集。
鉱山関係者からはもちろん、自身もフィールドに出て標本収集することで情報を常に吸収、
日本産鉱物の魅力を発信し続け、HP・SNS(クリスタルポケット)による所有標本の紹介と、
「石コレクションお披露目会 石会たて」を年2回主催している。
【標本展示企画】
2016「尾去沢鉱山の鉱物 佐藤健一氏コレクション」(益富地学会館/京都)
2017「〇×△□ 鉱物収集の楽しみ方展」(益富地学会館/京都)
2018「神岡鉱山産鉱物標本展」(益富地学会館/京都)
2020「Hand Specimen 小さな石と大きな景色と水平線」(ギャラリーヘプタゴン/京都)
2021 石フェス!2021 「躓く石も縁の端」公募展出展(ギャラリーJITSUZAISEI/大阪)
2022「とくべつな石 時刻の果実Ⅰ」(クサカベギャラリー/京都)
【研究発表】
2003 岡山県井原市日吉鉱山産ベイルドン石 西田勝一 藤原由輝 地学研究,51-4,211-212
2004 和歌山県すさみ町三陽鉱山産alloclasite 日本鉱物科学会2004 年年会
2005 山口県美祢市大和鉱山産preisingerite 大西政之 草地功 小林祥一 藤原由輝 西田勝一
日本鉱物科学会2005 年年会
2007 京都府京丹波市鐘打鉱山産銅重石華 西田勝一 地学研究, 56-3,164-165
2009 大分県木浦鉱山産bendadaite と鉄砒酸塩鉱物
松原聰 宮脇律郎 重岡昌子 但馬秀政 西田勝一 藤原由輝 日本鉱物科学会2009 年年会
2009 大分県木浦鉱山産ピクロファーマコ石 藤原由輝 西田勝一 地学研究,57-4,195-198
2012 山口県大和鉱山産 パルノー石 西田勝一 地学研究,60-2,106
2014 福井県剣岳鉱山産ジオクロン鉱
橋本成弘 山田隆 小菅康寛 藤原由輝 西田勝一 石橋隆 藤原卓 松原聰 日本鉱物科学会2014 年年会
2023兵庫県琢美鉱山から産するデュモルチ石及び電気石について
白勢 洋平 上世 莉可子 西田 勝一 藤原 由輝 日本鉱物科学会2023 年年会
Press release
『Handspecimen -地を掘り石は巡る-』
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