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沖縄厨子甕展《ちむぐくる -魂を繋ぐ器- 》2026.6/24(Sat)-7/20(Sun)

Posted by GALLERY_HEPTAGON at 13:33 日時 2026/05/20

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会期|2026年6月27日(土) - 7月20日(日) 
休廊|木曜日
OPEN|12:00〜19:00

●トークイベント|『厨子甕・京都で繋がる魂の器』 日時|7/4(土)14 : 00〜  
無料:予約優先 (定員30 名程度)

話者|倉成多郎(那覇市立壺屋焼物博物館学芸員)
  |山田サトシ(出展作家/沖縄県立芸術大学陶芸分野教授)
ナビゲーター  |畑中英二(京都市立芸術大学総合芸術学科教授)

●レセプションパーティ|7/4(土) 17 : 00頃より 作家とトーク登壇者を交え、レセプションパーティを 行います。ぜひお気軽にご参加ください。

主催  |   ちむぐくる実行委員会
後援  | 沖縄県立芸術大学 
特別協力 | 那覇市立焼物博物館


このたび、ギャラリーヘプタゴンにて 沖縄厨子甕展 ― ちむぐくる・魂を繋ぐ器 ― を開催いたします。

厨子甕(ずしがめ、沖縄方言でジーシガーミ)は、沖縄で古くから行われてきた洗骨葬に用いられた骨壺で、遺骨を納めるための器のことです。

本展に参加する6名の作家はいずれも沖縄にルーツを持ち、厨子甕を“身近でありながら特別な存在”として受け止めてきました。
彼らにとって厨子甕は、家族の祈りや土地の記憶と深く結びついた大切な器であると同時に、その大切さを現代にもつなぎたいという思いがあります。

厨子甕は現在でも沖縄地方ではも先祖の魂を納める器として生き続けていますが、作家たちはその精神性を受け継ぎながら、「現代の暮らしの中でも使われ、息づく器」として提案できる形を模索し、作品に込めています。

本展では、沖縄独自の死生観や葬送文化を象徴する厨子甕を、現代の視点から再解釈し、多面的に捉える試みを行います。伝統技法を継承する作家から、現代的なアプローチで新たな造形を生み出す作家まで、多様な表現が一堂に会します。

 那覇と京都という二つの都市で開催することで、日本文化における祈りのかたちや精神性の多様さ、そして芸術がもたらす共鳴をより深く探求し、みなさまの心に届けることができましたら幸甚に存じます。

 



【作家プロフィール】

上江洲史朗/Shiro UEZU


1992 沖縄県立芸術大学美術工芸科 入学
1996 大学卒業と同時に佐賀県唐津にて陶芸を学ぶ
1998 茂生窯へ入り上江洲茂生へ師事
2019 茂生窯を継ぎ窯主となる
2023 沖展初出展/沖展賞(最優秀賞)
 2024 初個展(東京/うつわのわ田)完売

土から薪、釉薬、登窯に至るまで、伝統を守りながらすべて一人の手で作り上げる。 本当の意味でのやちむんを生み出すことを生業としている。 厨子甕は魂のお家。入る方が気に入ってくれるようなカッコいい厨子甕がつくりたい。ありがたいことに、自分の作った厨子甕に入りたいって言ってもらえることも増えたので、その想いに応えられるように頑張って良いモノをつくりたいそして厨子甕の文化がない方々にも存在や価値、造形の美しさを見てもらいたいし、知ってもらいたい。

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胡宮雪娜/Yukina KOMIYA

沖縄県生まれ
2012 沖縄県立芸術大学大学院 造形芸術研究科  生活造形専攻 陶磁器専修 修了
2012〜2014 沖縄県立芸術大学非常勤講師
 2014〜台湾在住 2024 
「Re-heat and Reborn-風連りてぃ巡る-」   那覇文化芸術劇場なはーと
 「沖縄重生 Re-heat and Reborn-風連りてぃ巡る-」画廊沖縄 2021  
 「平安平安平」l 臺南文化センター 2020 

「キメラオキナワ 異質同体」画廊沖縄 2015 
「入睡前的細語 Dreams before sleep」新北市立鶯歌陶瓷博物館,台湾
 2013
  「-談談笑笑-」画廊沖縄  他、グループ展、レジデンス制作多数

2025 沖縄タイムス芸術選賞美術部門 奨励賞
2023 臺南新藝獎 NEXT ART TAINAN受賞


中国、台湾、沖縄にまたがる家族の記憶や移動の歴史を起点に、異なる文化が出会うなかで生まれる風習や信仰に興味を持って制作しています。 混ざり合うことの面白さや、そこから立ち上がる新しい風習の兆しを探るようなプロジェクトを継続しています。身体のスケール感を出発点に、インフレータブルや「身体に作品を摂り入れる/可食」行為を使ったインスタレーションやワークショップなど、体験を通した表現に取り組んでいます。

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鈴木まこと/Makoto SUZUKI

沖縄県出身
2018 沖縄県立芸術大学 美術工芸学部 デザイン工芸学科 工芸専攻 卒業
2020 沖縄県立芸術大学大学院 造形芸術研究科 生活造形専攻 工芸専修 修了
2023 イタリア・Milano Bicocca大学に留学
2024 沖縄県立芸術大学大学院 芸術文化学研究科 (後期博士課程)修了
 2019 第53回女流陶芸展にて朝日新聞社賞、第54回現代美術文化振興財団賞受賞
2022 第60回ミラノ・サローネ(イタリア)、サローネサテリテに出品
2023 第5回日本陶磁協会 現代陶芸奨励賞 九州・沖縄展 奨励賞受賞 萩大賞展Ⅵ 現在形の陶芸 入選
2024 柿傳ギャラリーにて個展(東京) 第13回国際陶磁器展美濃 陶芸部門 入選
2025 第122回有田国際陶磁展 熊本放送賞

9年前に国立民族学博物館でネガティブ文様土器という磨研土器に出会ってから、その独特の質感に惹かれ、技術の習得と装飾技法の研究を続けてきました。 土器には時代を超えて感性に響く普遍的な魅力があると思います。その魅力を現代に生きる私自身の目と手を通して改めて形にし、土でモノをつくるという行為の原初的な魅力に訴えかけるような「古くて新しい土器」を生み出していくことこそ私の陶表現の根幹となっています。

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平良和宏/Kazuhiro Taira

1971 沖縄県生まれ
2001 沖縄県立芸術大学大学院研究生修了
1998 個展-Silent Slumber-銀座ガレリアグラフィカbis(東京)
2001 個展-Silent-壷屋焼物博物館企画展示室(沖縄)
2008 「ウルカ」(糸満 CAMP TALGANIE)          
  ほか活動多数

 海が好きです。珊瑚が好きです。孤の島々の 差異が好きである。
生きたかたち、そのまま遺した大きなクラゲの化石にはたまげた。

童心をそそられる瞬間から想像力が駆け巡り それらが降り積もるようだ。
石灰岩はいきものの営みに出会えるように思えてならない。

 厨子甕制作は未来への伝承。さらには新たな伝統文化としての、珊瑚石+漆なりの工芸の可能性を

うみだすことができればと考えている。

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宮城光男/Mitsuo MIYAGI

1976 那覇市生まれ
1995 沖縄県立開邦高校 芸術科卒業
1995 沖縄県読谷にある壺屋焼の窯元に入門 (以降、各地にて武者修行する)
1999 故國吉清尚氏の年季窯にて制作活動 
2024 首里城公園 「首里城福光シーサー」 制作
2021 「沖縄民藝術シーサー協会」 一代目・会長就任
2019 首里城福光シーサー「那覇市長賞」受賞
2018 サミット会場・万国津梁館  大シーサーと龍柱 建立
2013 世界遺産 熊野速玉大社シーサー奉納(和歌山)
2006 九州国立博物館開館記念展 古典シーサー 展示
2006 「八百年祭シーサー展」京都住蓮山安楽寺  
2005 沖縄県那覇市「MITSUO シーサー美術館」開館
2004 「MITSUO SEASIR in PARIS展」(フランス)

 1998 「うりずんの漆喰シーサー彫刻展」 那覇市立壺屋焼物博物館            他、活動多数

 代々伝統工芸に携わる家に生まれ 、 沖縄の民芸であるシーサーと、芸術・ARTを融合させた 「民藝術」として新たな伝統の革新に挑戦している。沖縄で厨子甕は、祖先への尊敬や愛情などを表した大きく美しい「骨壷」として 伝わっています。 しかし 本来は厨子とは仏教の経典や仏像などの、大切なものを入れる収納具だと 本来の厨子の使われ方も復活させようと思いました。

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山田サトシ/Satoshi YAMADA

1967 沖縄県生まれ  
1991 沖縄県立芸術大学卒業 
1993 東京芸術大学大学院工芸専攻修了
1999 『山田 聡展』   那覇市立壷屋焼物博物館にて初個展
2012 アジア現代陶芸―新世代の交感展   (台湾・新北市立鶯歌陶磁博物館)
2013 教員展  (OIST・沖縄科学技術大学院大学)
 2015 山田サトシ陶展 “唐旅/Journey with No  return”  (沖縄県立芸術大学・附属図書芸 術資料館)
2017 アジア現代陶芸交流展 (愛知県立陶磁器美術館)
2018 台湾・沖縄芸術大学交流展 (国立台湾芸術 大学)
2019 アジア現代陶芸展 (中国) 2022 現代茶陶展 入選
2025    西部工芸展 入選・沖展 沖展賞(最優秀賞)
2026 『山田サトシ陶展 tone』 リウボウアートギャラリー

現在  沖縄県立芸術大学工芸専攻で陶芸を指導
陶を素材に、土の質感を効果的に出せる造形表現を探求している。伝統的な技法を踏まえつつ、現代的な視点を取り入れ、「生と死」という普遍的なテーマを作品に込めている。厨子の造形的な存在感を自身の解釈で「メメント・モリ/シリーズ」「終器」シリーズに展開している。

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特別寄稿
「魂を納める器 ~宗教藝術の精華としての厨子~  」 

                                                       那覇市立壺屋焼物博物館学芸員 倉成多郎

 琉球王国時代の琉球文化圏では、死者は二度葬られる。人が亡くなると遺体は墓内に安置される。数年後、骨化した遺体が墓室から取り出され、きれいに洗われて(これを洗骨という)専用容器に収められ再び容器ごと墓室内に設置される。この容器をジーシといい、「厨子」の漢字があてられる[1]

 洗骨と厨子の使用は、沖縄本島では1970年代まで、火葬設備のない周辺離島では近年まで行われていた。洗骨した骨を厨子に納めることは14世紀には始まっていたと考えられる[2]が、一部の有力者に限られ、木製や中国産石材で作られた厨子に収められた[3]。その後、王族から、上級士族・富裕層へと洗骨と厨子を伴う葬法が拡大していくにしたがい、厨子の材料は石灰岩や陶器へと移り変わっていった。18世紀には厨子の使用は王国内のかなりの層に広がり陶製厨子はその生産量を増やし、今日一般的な厨子が成立した。例えば、ボージャージーシと呼ばれる甕型で釉がかけられない製品や、家形の御殿(ウドゥン)型と呼ばれるものである。近世琉球産陶器は、日常で使われる器に関していえば装飾は抑制的で使われる釉薬の数も2種類ほどである。一方、陶製厨子は、僧形人物像や獅子、屋根上の怪魚、瓦や唐破風の表現など装飾も色彩も驚くほど豊かである。ウチナーンチュの、死者を追善することへの篤い思い、死後の世界への憧憬、信仰の形が具体的にあらわれるのが厨子なのである

 かつては洗骨と容器への再葬は、東アジアの各地が共有していた文化だが、沖縄で顕著にそれが残り、死と追慕、アイデンティティに関わるエモーショナルな器として現在では沖縄陶器を代表する形の一つとなっている。

 近年の沖縄では洗骨と再葬はほとんど行われない。それでも、沖縄の作家は、陶芸に限らず様々なジャンルで厨子と向き合ってきた。「沖縄らしさ」としてその造形を消費するのではなく、ウチナーンチュの死者を弔う精神を継承しながら現代的な死生観にもとづいて造形に励む姿は、日本・東アジアの現代陶芸のなかでも特別な位置を占めている。亡くなった身近な人を思いうかべながらその魂の安寧を祈る器として、あるいは生よりも長い死後の世界をいかに楽しく過ごすのかという真剣な遊び心から生まれた器として、厨子は今後も我々の心を惹きつけつづけるし、今後もそういう器の登場を期待したい。

 


[1] ジーシガーミとも呼ばれ今日では「厨子甕」の漢字があてられるが、王国時代の文書での表記は「厨子」であり、「甕」の形態をしていないもの、陶製ではないものも多く、本稿では「厨子」で統一する。

[2] 洗骨は、厨子の使用に先行すると思われ、骨を丁寧に岩陰などに納め直しをしたと考えられる。

[3] 英祖王や尚寧王が葬られている「浦添ようどれ」や、第二尚氏歴代国王の墓である「玉陵」など。